クラミジアの検査と治療
クラミジアの検査・治療についての解説です。
検査方法
検査方法はいろいろあるよ
クラミジアの検査方法には、いくつかの種類があります。
- 血液検査
- 遺伝子検査
- 顕微鏡検査
- 迅速検査
血液検査では、過去や現在のクラミジア感染がわかるため行われることがあります。
遺伝子検査は最も一般的な検査方法で、普通はこの方法が用いられています。
顕微鏡検査
男性の尿道炎の場合、医療機関によっては顕微鏡を使って検査することもあります。
クラミジアは顕微鏡では見ることができないくらい小さなものです。電子顕微鏡があれば確認できますが、値段が高いこともあり電子顕微鏡でクラミジアを確認するようなことはありません。
ただ、顕微鏡で確認できるのは、クラミジアがいるかもしれないという可能性や痕跡ぐらいです。
しかし、クラミジアと同様に尿道炎を起こす淋菌は、顕微鏡で確認できるので、尿道炎の原因を探るのには有効です。
このため、尿道炎の検査で顕微鏡を使っている病院もあります。
迅速検査
クラミジアの検査には、検査結果がすぐにわかる迅速検査もあります。
検査結果は15分~30分程度でわかるため、病院によってはこの迅速検査を行うこともあります。
検査結果がすぐに出るのがメリットですが、検査の精度が遺伝子検査に比べて少し落ちるという欠点もあります。
それでも、検査結果で陽性であればその日から治療を行えるので、尿道炎などの症状がでている場合には有効な方法です。
血液検査
過去の感染もわかる検査
クラミジアが体内に入ると、クラミジアに反応してタンパク質が体内でつくられます。
このタンパク質は抗体といわれるもので、クラミジアの血液検査では2種類の抗体を調べます。
- 感染初期
- 感染している
- 過去に感染していた
- 感染していない
2種類の抗体を調べることにより、この4つのどれに分類されるかを調べます。
「感染初期」は感染してからすぐの状態で、感染してから1週間くらいしか経っていない可能性が高いです。
「感染している」は感染から数週間以降で、クラミジアが活発に活動している可能性が高いです。
「過去に感染していた」は過去にクラミジアが存在した痕跡はあるけれども、現在は体内からは消えている可能性が高いです。クラミジアの抗体の1つは感染すると数年の間は残るので過去の感染もわかります。
「感染していない」は過去も現在もクラミジアには感染していない可能性が高いです。
あまり意味のない検査だよ
このクラミジアの血液検査は過去にはよく行われていたのですが、現在ではあまり行われなくなりました。
偽陽性・偽陰性が非常に多いからです。クラミジアの血液検査は精度的に問題があります。
もし、「感染初期」「感染している」と判定されても、実際には感染していないことがよくあります。
逆に、「過去に感染していた」と判定されたのに、現在でもクラミジアに感染していることもあります。
「感染していない」と判定された場合のみ、3ヶ月より前の行為では感染していない可能性がかなり高いです。(それでも、絶対に感染していないというものでもありません。)
クラミジアにおける血液検査の結果は、正直に受け取らないほうがいいでしょう。
- 感染している可能性がある
もしくは過去に感染していた可能性がある - 過去に感染した可能性は低い
血液検査の結果はこのくらいのものだと思ったほうがいいでしょう。「感染したことがある」「感染したことはない」このどちらかが大体はわかるという程度です。
そして、血液検査で陽性・陰性どちらであっても、感染するような行為に身に覚えがあれば、他の検査方法でクラミジアの検査を受けなおしたほうがいいです。
また、血液検査で陽性であっても、身に覚えがなければ偽陽性だと思われるので、クラミジアには感染していないはずです。この場合は、再検査や治療などの必要はありません。
血液検査の必要性
このように血液検査は精度が低くいため、積極的に血液検査を受ける必要はないでしょう。
しかし、場合によっては血液検査が必要となることもあります。
血液検査では、全身のクラミジアを調べられるというメリットがあります。体のどこに感染しているクラミジアに対しても、血液検査だけで調べることが可能です。
女性でクラミジアが卵巣や腹膜まで進行した場合や、感染から何年も過ぎたような場合では、子宮頸管からの検査では見つからないこともあります。
このようなクラミジアが疑われるけれども発見されない場合には、血液検査が有効となることがあります。
卵巣や腹膜へのクラミジア感染に対して血液検査で陽性となれば、有効な治療方法が見つかる可能性があるからです。
このため、病院では現在でも、クラミジアの血液検査が補助的に行われることもあります。
遺伝子検査
DNAの検査だよ
遺伝子検査はクラミジアの検査方法として、最も一般的な方法です。
- PCR法
- SDA法
遺伝子検査でおこなわれる検査方法はこのようなものがあります。
DNAを取りだし、増やして、それから検出するという核酸増幅法が主に用いられています。この検査には数日かかります。
また、遺伝子検査は技術的に高度な検査で専用の機器が必要となるため、病院などで検査することは普通はできません。専門の検査機関に検査を依頼しています。
このため、検査や輸送に時間がかかり、検査結果がでるのは4~6日後ぐらいです。
男性
男性では初尿を検査します。
初尿とは出はじめの尿のことで、朝起きた直後もしくは2~3時間ぐらいトイレにいってない尿が必要です。
尿道で増えたクラミジアは、尿の最初の流れに多く含まれます。
尿による検査が行われる前までは、綿棒を尿道に数cm入れてグリグリと回して検体を採取していました。これはかなり痛かったのですが、現在では行われなくなりました。
女性
女性では子宮頸部(しきゅうけいぶ)の粘膜を検査します。
長い綿棒を膣に入れて、膣の奥にある子宮頸部の表面をぬぐいます。
この作業は病院では普通はお医者さんにやってもらいます。
また、女性でも尿道炎・膀胱炎の疑いがある場合には尿を検査することもあります。
のど
のどでは喉の粘膜を採取する必要があります。扁桃腺のあたりを綿棒でぬぐったものを検査します。
最近はうがいをした液体で検査をすることもあります。
直腸
直腸のクラミジア検査が行われることはあまりありません。
もし、行う場合は綿棒などを使って、直腸表面の粘膜を採取する必要があります。
検査の信頼性
精度の高い検査
クラミジアの検査で一般的に行われている遺伝子検査ですが、これは非常に精度の高い検査です。
検査する対象の中に、クラミジアがのDNAが数個含まれていれば検出が可能です。
このため、少量のクラミジアが含まれていれば検査ができ、理論的には感染直後からの検査が可能です。
ただ、検査の精度を高めるためにも、検査は感染機会から2~3日経ってからのほうがいいでしょう。
検査が失敗する場合
この遺伝子検査の信頼性はかなり高いですが、100%完璧なものとはいえません。感染していれば95%以上は見つけることができますが、たまに失敗することもあります。
遺伝子検査は非常に精度の高い検査のため、検体に血液や精液などが含まれていると正確な検査結果がでないことがあります。
生理のときや射精直後などの検体採取は避けたほうがいいでしょう。
他にも、尿や粘膜の採取方法が適切でない場合には、陽性なのに陰性と判断されることがあります。
また、クラミジアが感染してからかなり時間が過ぎ、骨盤腹膜炎をおこしているような女性の場合では、クラミジアが子宮頸部からは見つからないこともあります。
これは、女性ではクラミジアはしばらくすると深いところにもぐりこみ、子宮頸部から消えてしまうことがあるためで、感染機会があった場合は早めの検査を心がけたほうがいいでしょう。
このように遺伝子検査でも失敗することはあります。
それでも、遺伝子検査はクラミジアの検査方法の中では極めて信頼性の高い検査で、これ以上に精度のよい検査方法は他にはありません。
検査を受けるタイミング
検査を受けたほうがいい人がいるよ
クラミジアは自覚症状がないことが多く、特に女性では症状がないことが普通です。
もし、身に覚えがある場合には、速やかに検査を受けたほうがいいでしょう。
- 35歳以下の女性
- 新しいパートナーができた人
- 複数のパートナーがいる人
- コンドームを使わなかった人
- 性風俗で働く女性
- 性風俗でサービスを受ける男性
クラミジアに感染することが多いのはこのような人です。
特に20歳前後の若い女性の場合は、子宮頸部の面積が広いためクラミジアに感染する可能性が高くなります。
コンドームを使わないオーラルセックスでも感染することもあります。
新しい人と性的な関係をもった場合には検査をおこなったほうがいいでしょう。
特に、複数のパートナーがいる人や不特定多数との関係をもつ人の場合では、2ヶ月に1回以上、最低でも1年に1回以上の検査が必要です。
定期的な検査を行うことで、クラミジアの重症化を避けることができます。
治療方法
飲み薬で治すことが多いよ
日本におけるクラミジアの治療方法には、飲み薬と点滴で行う方法があります。
通常は飲み薬でだけで治しますが、症状が重い場合には点滴を使うことがあります。
- ジスロマック
- クラリス
- エリスロマイシン
クラミジアの治療では主にこのような薬が使われます。
このような薬には初日に1回だけ飲む薬と1週間ほど飲み続ける薬があります。ほとんどのクラミジアはこれで治ります。
しかし、症状の重い場合には治療まで数ヶ月かかることもあります。
確認検査
治療が終わった後の検査
クラミジアの治療が終わった後、クラミジアが本当に消えたかどうかを確認する検査が必ず必要となります。
クラミジアは弱い病原体なので、クラミジアの症状がでていた場合でも薬を飲めば症状はすぐに消えます。
しかし、症状がなくなってもクラミジアが治ったとは限りません。クラミジアの治療を受けた人の5~10%くらいでクラミジアが再発します。
これは薬に耐性をもったクラミジアが生き残ったり、ほんの少しだけ残ったクラミジアが再増殖を始めたりするからです。
このため、治療終了から少なくとも1週間以上、普通は2週間以上たってから遺伝子検査による確認検査を行います。
遺伝子検査は死んだクラミジアのDNAに反応するほど精度が高く、治療直後では陽性となってしまいます。このため、治療から確認検査まで間を空ける必要があります。
性病検査キット
自分で検査できるよ
性病検査キットを使うと、自宅で性病検査をすることもできます。
ただ、検査キットは誰にでもオススメできるわけではありません。そのまま病院へいったほうがいい場合もあります。
そして、検査キットにはメリットやデメリットもあります。
性病検査キットの良い点・悪い点のページでは、これらの点について解説していますので、そちらを参考にしてください。
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