クラミジアに感染する原因 ~感染経路の特定は難しい?~
「病院に行って検査したらクラミジアだった。私は浮気もしていない。もしかして、彼が原因?」
「クラミジアっていわれたけど、オレは風俗なんていってないし、嫁としか関係はもってない。まさかあいつが誰かと?」
クラミジアに感染するとそのようなことを考える人も多いと思います。ここでは、クラミジアの感染経路、感染する原因について考えてみたいと思います。
- 粘膜に感染するクラミジア
- ありふれた病気
- 感染した時期
- 性器への感染
- 喉への感染
- 直腸への感染
- コンドームの着用ミス
- 日常生活
- 病院での感染
- 動物のクラミジアがうつった
- 治療の失敗
- 過去のクラミジア
- パートナーが未治療
- パートナーの嘘
- 検査の限界
- 血液検査での陽性
- 原因不明のことも多い
- 感染の原因を探す必要性
クラミジアについて
性行為での感染
性行為以外の原因
その他のよくある原因
まとめ
粘膜に感染するクラミジア
粘膜に触れることで感染するよ
性病のクラミジアは、クラミジア・トラコマティスという細菌が原因の病気です。
主に感染者との粘膜や体液が、相手の粘膜に触れることで感染します。
感染する部分は男性の場合は尿道の粘膜、女性の場合は子宮頸部(膣の奥の部分)の粘膜です。
感染力も非常に強く、感染者との性行為では50%以上の確率で感染するほど感染しやすい病原体でもあります。
ただ、クラミジア自体は弱い細菌で人間の細胞の中でしか生きられません。人から離れるとすぐに死んでしまうため、トイレやお風呂など、どこかに付着した体液から感染するようなことは普通はないと考えられています。
ありふれた病気
最も身近な性病
クラミジアは性病・性感染症の一つと考えられていますが、誰でも感染する可能性がある「ありふれた病気」です。
国内にどのくらいの感染者がいるかは正確にはわかっていませんが、100万人くらいの感染者がいると推測されています。特の女性の感染者が多く、男性の6倍くらいいます。
さらに若い女性の場合は感染がかなり深刻で、10代後半~20代前半の女性の10~20人に1人くらいがクラミジアに感染していると考えられています。
クラミジアに感染した場合、なぜ自分がクラミジアに感染してしまったのだろうと考える人も多いでしょう。
しかし、クラミジアは一般のカップルや夫婦などがセックスで普通に感染する病気といえ、特に珍しい病気・性病ではありません。
感染した時期
いつ感染したかはわからないよ
クラミジアは潜伏期間が短く、感染から数週間で症状がでることが多いです。
このため、感染時期としては時間をさかのぼって考えると、症状がでたときから数週間前の行為が一番疑わしいといえます。
ただ、クラミジアに感染したとしても男女ともに自覚症状が無いことが多く、症状があったとしても軽いことがほとんどです。特に女性の場合は、気付かないくらいの軽い症状しかでないのが普通です。
また、もしどこかの段階でなにかの異常や症状に気付いたとしても、いつ感染したのかが確実にわかるわけでもありません。
何年も前のクラミジア
感染したクラミジアはしばらく体の中に残るのですが、感染から数ヶ月から数年もすれば、体の免疫によりほとんどのクラミジアは消えてしまうと思われます。
しかし、クラミジアが人体でどういう経過をたどるかについては詳しいことはわかっていません。特に女性の場合はかなり長く残る可能性もあります。
実際に感染したことにずっと気付かずに過ごす人もかなりいます。
例えば妊娠時の妊婦検診やなかなか妊娠しないために受けた不妊治療での検査で、過去のクラミジア感染を初めて知る女性も珍しくはありません。
そして、このような場合には感染時期を知ることは特に難しく、わからないままのことがほとんどでしょう。
性器への感染
セックスでの感染が多いよ
クラミジアの感染経路のほぼ100%が性行為と考えられています。
一般的には「性行為以外での感染は無い」といわれることが多いです。
感染ルートとしては、クラミジアはコンドームを使わないセックス(性器の結合)での感染で一番よく感染します。男性の尿道から女性の膣へ、もしくは女性の膣から男性の尿道へというルートです。
また、セックス以外の性行為でもクラミジアは性器の粘膜に感染することがあります。
この場合は特にオーラルセックス(フェラチオ・クンニリングス)で喉から性器へ感染するケースがほとんどです。
喉への感染
喉にもうつるよ
クラミジアは喉の粘膜にも感染しますが、症状がでないことがほとんどです。
主にオーラルセックス(フェラチオ・クンニリングス)が原因で感染します。
特にフェラチオで男性の尿道から女性の喉へ感染することが多いです。これに対してクンニリングスで男性の喉に感染することはやや少ないです。
性風俗で働く女性従業員の場合、何人もの男性に対してフェラチオを行うために一般の女性に比べて喉へのクラミジア感染が多いです。そして、フェラチオのサービスを受ける男性もかなり高い確率で尿道に感染してしまいます。
その後、性風俗店でクラミジアに感染した男性から、奥さんや彼女にまでクラミジアが広がってしまうわけです。
また、クラミジアが喉に感染する原因はオーラルセックスが主ですが、ディープキスでも喉から喉へと感染することもあります。
直腸への感染
アナルセックスで感染
クラミジア性器の粘膜や喉の粘膜に感染することが多いのですが、アナルセックスなどでは直腸・肛門の粘膜にも感染することがあります。
しかし、直腸へのクラミジア感染では症状がでることはほとんどありません。
さらに、性行為でアナルセックスを実際に行う人はそれほど多くはないので、実際にはどのくらいの人が感染しているかはよくわかっていません。
女性の場合
ただ、女性の場合はアナルセックスの経験が無いのに、直腸・肛門にクラミジアが感染している人がまれにいます。
これは膣にいたクラミジアが、性行為の際に体液と一緒に流れ出て、自分の肛門まで到達することが原因と考えられます。
コンドームの着用ミス
コンドームを使っても感染する
セックス(性器の結合)だけに限れば、コンドームにはクラミジアに対するほぼ100%の予防効果があります。感染者の粘膜や体液との接触を完全に防げるからです。
しかし、予防するためにはペニスの挿入から射精まできちんと着用する必要があります。
クラミジアは非常に感染しやすいため、射精時だけの着用では、クラミジアを完全に予防することはできないからです。
少し相手の粘膜や体液に触れた程度であればあまり感染することは無いでしょうが、コンドームを使わなければ粘膜に触れることに変わりはないため、感染する可能性がわずかにあります。
以上のような理由で適切にコンドームを使えばクラミジア感染は防げるのですが、フェラチオなどのオーラルセックスでも感染することがあるため、性行為全体を通して考えればコンドームを使っても感染する可能性があるということは忘れないほうがいいでしょう。
日常生活
お風呂・プール
クラミジアにはお風呂・温泉・プールなどで感染するようなことは普通はないと考えられています。
クラミジアは熱に弱く、さらにお風呂などに菌が流れ出ても薄まるからです。
バスタオルの共用などでも感染することはありません。
空気感染
クラミジアは乾燥に非常に弱く、乾燥するとすぐに死滅するため、空気感染することはありません。
回し飲み
クラミジアはディープキスなどでは喉から喉に感染することはありますが、回し飲みをしたぐらいで感染することはないでしょう。
トイレ
トイレのはねかえりなどではクラミジアに感染することもありません。
ただ、便座に感染者の体液がべっとりとくっついていて、そこに座った際などに性器が触れれば感染する可能性はあるのかもしれません。
しかし、通常はそのようなことはあまりおこらないでしょう。
原因不明
このように、日常生活ではクラミジアに感染することは通常はないと考えられています。
しかし、クラミジアは感染原因が不明のことがかなり多い病気です。感染に心当たりの全く無い人もたまにいます。
1回の性行為でも簡単にうつるくらいに非常に感染しやすい菌なので、偶然が重なってどこかで感染するというようなことも実際にはあるのかもしれません。
病院での感染
医師・看護師のミスで感染
感染症の場合は病院で行われる医療行為で感染するケースもあります。
ただ、クラミジアの院内感染についてはほぼ無いと考えられます。
もしかすると病院側のミスで感染することもまれにあるのかもしれませんが、例えあったとしても確認のしようがありません。
動物のクラミジアがうつった
鳥からうつるクラミジア
クラミジアの仲間には、鳥や猫などに感染する種類のクラミジアも存在します。
鳥が感染するクラミジアなどは人に感染して、オウム病と呼ばれる肺炎などの原因になることもあります。
しかし、性病のクラミジアとは種類が異なるため、尿道炎や子宮頸管炎をひきおこすことはありません。
ただ、血液検査ではクラミジアの種類まで判別することは困難なので、肺炎を引きおこすほうのクラミジアなどと血液検査で間違えられる可能性はあります。
治療の失敗
完治していなかった
もし以前にクラミジアに感染したことがあるのであれば、そのクラミジアが残っていただけという可能性もあります。
クラミジアは薬がよく効ききますが、1度の治療で100%治るわけではありません。
10人に1人ぐらいで治療が上手く行かないことがあり、別の系統の薬を使うなどの治療のやりなおしが必要になります。
他にも薬の飲み忘れなども治療の失敗の原因になることがあります。
このようにクラミジアの治療は必ずしもうまくいくとは限らないのですが、薬を飲んだだけで治ったと思い込む人もたまにいます。
この場合はクラミジアが完全には消えず、体に残った再び増え始めることになります。
そして、後日どこかクラミジアの検査をすると陽性となり、「また、クラミジアに感染した」と勘違いすることになってしまいます。
過去のクラミジア
数年前のクラミジアが残る?
クラミジア感染を放置すると体にダメージは残りますが、しばらくすると免疫によって自然に消えてしまうと考えられます。
ただ、クラミジアは培養がむずかしく、詳しい生態はよくわかっていません。
何年も前に感染したクラミジアが体内に残っているということも、もしかしたらあるのかもしれません。
喉のクラミジア
また、クラミジアは喉にも感染しますが、喉に感染するような他の細菌と同様に、喉のクラミジアも感染してからしばらくすれば消えてしまうと思われます。
しかし、喉のクラミジアも性器のクラミジアと同じで、感染後はどういう経過をたどるかはよくわかっていません。
かなり長い間クラミジアが喉に残る可能性もあります。
また、喉のクラミジアは薬が効きにくいので、クラミジアの薬を飲んだとしても、喉のクラミジアだけは残ってしまう可能性もあります。
このような喉にクラミジアが残った状態の場合、オーラルセックスを行うことで再び性器の粘膜にクラミジアが感染してしまうことになります。
パートナーが未治療
クラミジアは一緒に治療する
クラミジアは治療をすることで簡単に治すことが可能な病気です。
しかし、自分だけがクラミジアを治療しても、パートナーが未治療の場合は、何度でもピンポン感染を繰り返すことになります。
パートナーも同時に治療することが必要です。
また、治療中の場合はクラミジアがうつる可能性がまだあるので、治療途中の性行為も再感染の原因になります。
パートナーの嘘
どちらかが嘘をついている
クラミジアは基本的に人から人へしか感染しません。
特定のパートナーしかいないカップルの場合、どちらかがカップル以外の人物と性行為を行いクラミジアをうつされた、というのがクラミジアの原因としては可能性が最も高いです。
この場合は、どちらかが浮気をしたり風俗へ行ったりしてクラミジアをもらってくるのでしょうが、それでも自分には感染する心当たりがないとパートナーに嘘をつくような人も多いでしょう。
ただ、クラミジアをもらってきた側も検査をすればクラミジア陽性になるはずですが、陰性となってしまうことがある点には注意が必要です。
クラミジアは病院で処方されるような一般的な抗生物質で治ってしまうことも多いからです。
さらに男性の場合は女性に比べて症状がでやすいので、何らかの症状がでたため病院にいき、そこで処方された薬を飲んで自分だけ治ってしまったということもあるでしょう。
検査の限界
検査できないこともあるよ
クラミジアに感染する原因の話からそれるのですが、クラミジアの検査ではクラミジアを発見できないこともあります。
現在のところ主流となっているクラミジアの検査方法は、主に遺伝子検査(PCR法、SDA法)です。
極めて精度の高い検査方法ですが、女性の場合は感染から時間がたつとクラミジアは体の内部に入っていくため、見つからないことがあります。
この場合は実際には感染しているのに検査では陰性となってしまいます。
血液検査での陽性
現在の感染は判別できない検査
クラミジアの検査には血液検査もありますが、精度が低いためそれほど信用できません。
過去のクラミジア感染はわかるのですが、現在感染しているかどうかはあまりあてにはならないからです。
血液検査でのクラミジア陽性だった場合は、検査結果が間違っていることも考えられます。
原因不明のことも多い
どこで感染したのかわからないケース
クラミジアは感染のほとんどすべてが性行為が原因と考えられています。
しかし、症状がでないことのほうが多いためいつ感染したかわからず、原因不明・感染経路不明のことも多いです。
また、性行為以外の感染経路は無いとはいわれているものの、それを確かめる方法も無く、行為以外の感染経路がないと実際に証明されているわけではありません。
クラミジアは感染者数が非常に多く、誰でも簡単に感染するようなありきたりの病気です。
日常生活のどこかで感染してしまう可能性も否定できないのかもしれません。
お医者さんでも、性行為以外の感染経路が実際には存在しているという人もいます。
感染の原因を探す必要性
原因を探るよりも大事なこと
クラミジアに感染するとパートナー同士で疑いあい、互いの信頼関係が崩れるようなこともよくあります。
しかし、クラミジアはよくある性感染症で感染すること自体は珍しいことではありません。
今のパートナー以外にも過去に性的な関係をもった人が他にいるのなら、その人が原因だったという可能性も高いです。
また、感染原因のほとんどが性行為といわれていますが、お互いに全く心当たりがないという人もかなり多いです。
それが事実であるならば、クラミジアは非常に感染しやすい病原体でもあるため、性行為以外の感染経路もあるのかもしれません。
さらに、感染経路を特定することはほとんどの場合は困難なため、相手を疑うだけ無駄です。
それよりも2人同時に治療を行い、クラミジアによる不妊などの後遺症を残さないことがもっとも大切です。
性病検査キット
自分で検査できるよ
性病検査キットを使うと、自宅で性病検査をすることもできます。
ただ、検査キットは誰にでもオススメできるわけではありません。そのまま病院へいったほうがいい場合もあります。
そして、検査キットにはメリットやデメリットもあります。
性病検査キットの良い点・悪い点のページでは、これらの点について解説していますので、そちらを参考にしてください。
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