サイトメガロウイルス 症状と感染経路
サイトメガロウイルスは誰でも一度は感染するようなウイルスです。
乳幼児期に感染することが多いですが、大人になってから性行為などで感染することもあります。
感染しても無症状のことがほとんどですが、体が弱っている場合には長引く風邪のような症状がでることもあります。
このページでは、サイトメガロウイルス感染症について解説します。
サイトメガロウイルスとは
誰でも感染するよ
サイトメガロウイルスは誰でも一度は感染するようなありふれたウイルスです。
感染して風邪のような症状を引き起こすことがあります。
そして、感染した人の体内にウイルスはずっと残り、感染源となって他の人に感染していきます。
日本では5歳くらいまでの乳幼児期に、サイトメガロウイルスに感染する人が多いです。
このような幼少期に感染してもほとんどが無症状で、まれに肺炎などの原因になるくらいです。
大人になってから感染した場合も症状がでることは少ないですが、もし症状がでた場合には幼少期の感染に比べて重い症状となります。
また、一度サイトメガロウイルスに感染すると抗体がつくられるため、再び感染しても症状がでることは普通はありません。
欧米では比較的多い
このサイトメガロウイルスによる感染症ですが、欧米ではわりと多くみられます。欧米では幼少期に感染しない人が多いからです。
これに対して日本では、大人になるまでにサイトメガロウイルスに感染する人がほとんどで、感染すること自体はあまり問題になっていませんでした。
しかし、最近では生活様式の欧米化が進み、子どものころに感染しない人が急増しています。
このため、今後はサイトメガロウイルス感染症はもっと増えていくと思われます。
発熱が主な症状
長引く風邪みたいだよ
大人のサイトメガロウイルス感染では、風邪のような症状がでることがあります。
潜伏期間は30~50日くらいで、症状は軽いことが多いですがかなり長引くこともあります。
- 長引く発熱
- 寒気
- 頭痛
- 倦怠感・疲労感
- 関節痛・筋肉痛
- 軽い肝炎のような症状
- 脾臓の腫れ
主な症状はこのようなものです。風邪によく似た症状となります。
発熱が長く続くのが一番の特徴です。発熱は3週間くらい続き、38度以上の高熱となることもあります。
鼻水がでることはなく、咳がでることも少ないです。
伝染性単核球症
このサイトメガロウイルス感染では、キス病(伝染性単核球症)とほとんど同じような症状がでます。
ただ、キス病と違ってリンパ節の腫れや喉の痛みがでることはほとんどありません。
感染経路
ウイルスが含まれる体液
- 尿・糞便
- 唾液
- 鼻水
- 涙
- 母乳
- 血液
- 精液
- 膣分泌液
サイトメガロウイルスは人の体液に含まれています。これらの体液に触れることによってサイトメガロウイルスに感染します。
主な感染経路
- 母子感染
- 咀嚼した食べ物
- 感染者との様々な接触
- キス、性行為
- 輸血
サイトメガロウイルスの感染経路はこのようなものです。
乳幼児期の感染
サイトメガロウイルスは乳幼児期に感染することが多いです。
出産するときに感染したり、母乳や咀嚼した食べ物を通して感染します。
また、乳幼児が多く集まる保育園・託児所などで感染することも多いです。
乳幼児では体内でウイルスが大量に増殖しているため、周囲の人にうつりやすいからです。一緒に遊んでいるときに鼻水や唾液がくっつくなどして感染します。
キス、性行為による感染
大人ではキスや性行為を通して感染することもあります。
すでに感染している大人は抗体をもっているためウイルスは少ないですが、唾液、精液、膣分泌液などに濃厚に接触することにより感染します。
輸血
その他の感染ルートとして、輸血した血液から感染することもあります。
健康な人では輸血による感染が問題となることは少ないですが、免疫力の下がっている人などでは様々な症状がでることがあります。
診断・治療
病院でも普通は検査しないよ
大人では性行為などによってサイトメガロウイルスに感染し、風邪のような症状がでることがあります。
この場合、特別な検査が行われるようなことは普通はありません。主な症状としては熱がでるくらいなので、風邪として見逃されることが多いと考えられます。
しかし、あまりに長引くこともあり、この場合は血液検査が行われてサイトメガロウイルス感染がわかることもあります。
治療は安静にして寝るだけ
ただ、検査によってサイトメガロウイルス感染がわかっても、特別な治療が行われることはありません。
しばらく安静に寝ていれば自然に治るからです。
それでも、症状が重い場合には、点滴で体液を補ったり解熱剤を使ったりすることもあります。
HIV感染者・臓器移植を受けた人
免疫力が低下している人は危ない
サイトメガロウイルス感染では、普通は熱が長引く程度で、特に問題となることはありません。
しかし、免疫力が著しく低下している人の場合は全く別です。
体内のサイトメガロウイルスを抑えることができず、様々な症状があらわれます。
このようなことが起こるのは、エイズなど免疫不全の人や臓器移植で免疫抑制剤を使っている人です。
このような人たちでは新たに感染したウイルスだけでなく、過去に感染したサイトメガロウイルスも暴れだし、様々な重い症状があらわれるようになります。
HIV感染者ではサイトメガロ網膜炎になることが多く、放って置くと失明します。脳に入って脳炎となり神経障害や意識障害を引き起こすこともあります。
臓器移植患者では肺炎を起こして呼吸ができなくなったり、移植した臓器がウイルスによって損傷することもあります。
妊婦・胎児への感染
赤ちゃんに障害が残るよ
最近では妊婦さんのサイトメガロウイルス感染も問題になっています
もし妊娠する以前にサイトメガロウイルスに感染していれば、抗体をもっているため感染が問題となることはほとんどありません。
しかし、妊娠中にサイトメガロウイルスに初めて感染すると、お腹の中の赤ちゃんにも感染して障害がでることあります。
現在の日本では30%くらいの女性がサイトメガロウイルス未感染の状態で妊娠しています。
このため、妊娠中に感染して障害があらわれる赤ちゃんが増えています。
妊婦さんや子どもが欲しい女性は注意したほうがいいでしょう。
この妊婦さんのサイトメガロウイルスに関しては、こちらのサイトが詳しいです。
性病検査キット
自分で検査できるよ
性病検査キットを使うと、自宅で性病検査をすることもできます。
ただ、検査キットは誰にでもオススメできるわけではありません。そのまま病院へいったほうがいい場合もあります。
そして、検査キットにはメリットやデメリットもあります。
性病検査キットの良い点・悪い点のページでは、これらの点について解説していますので、そちらを参考にしてください。
タグ:伝染性単核球症