C型肝炎の症状・感染経路・治療法
C型肝炎は肝炎の一つです。
日本の感染者数は非常に多く、肝硬変や肝臓がんの主な原因ともなっています。
血液を通して感染するため、性行為で感染することもまれにあります。
このページではC型肝炎の症状や感染経路について解説します。
C型肝炎とは
感染者は非常に多いよ
C型肝炎はウイルス性肝炎の一つです。
C型肝炎ウイルスが原因で、感染者の血液を通して感染します。
感染すると免疫により肝臓の細胞が破壊されて肝臓の働きがだんだんと低下し、感染してから20年以上経過すると肝硬変や肝臓がん(肝がん)を発症することがあります。
しかし、性行為で感染することはあまりなく、性感染症とはいえないかもしれません。
今いる感染者のほとんどは輸血などの医療行為によって過去に感染した人たちで、日本には現在150~200万人ぐらいの感染者がいると推定されています。
急性肝炎
軽い風邪のような症状
C型肝炎の潜伏期間は2~3ヶ月くらいです。6ヶ月くらいとなることもあります。
潜伏期間を過ぎると急性肝炎を発症することがあります。
ただ、C型肝炎では急性肝炎の症状はでないことのほうが多いです。症状がでるのは感染者の2~3割くらいという資料もあります。
また、A型肝炎・B型肝炎に比べてC型肝炎は全体的に症状が軽いのが特徴です。
- 風邪のような症状
- 体のだるさ
- 食欲不振
- 吐き気・嘔吐
- 発熱
- 褐色尿
- 黄疸
急性肝炎の主な症状はこのようなもので、軽い風邪のような症状となることが多いです。
肝炎の特徴である褐色尿や黄疸がでることは多くはありません。褐色尿・黄疸はかなり症状が重くならないとでません。
このため、病院にいっても風邪と診断されることが多いでしょう。
また、A型肝炎・B型肝炎では命に関わるような劇症肝炎となることもありますが、C型肝炎では劇症化するのは極めてまれです。
慢性肝炎・キャリア
慢性化することが多い
C型肝炎ウイルスは体内に残りやすいウイルスです。
慢性化しないA型肝炎や慢性化しにくいB型肝炎に比べて、C型肝炎にはウイルスが消えずに非常に慢性化しやすいという特徴があります。
慢性化せずにウイルスが体内から抜けることもありますが、感染した人のうちの7割くらいはウイルスがずっと体内の残るキャリア(持続感染者)となります。
キャリアとなってもしばらくは肝機能は正常で健康に過ごせますが、感染から10~15年ぐらいすぎると肝臓の炎症が続く慢性肝炎の状態になります。
慢性肝炎の症状
肝臓は3~4倍の予備能力があり、普通はかなり重症化するまで症状がでることはありません。
このため、肝臓が少しずつやられていく慢性肝炎ではほとんどが無症状です。
症状があったとしても、何となく体がだるい、食欲がわかない、疲れやすいという程度なので異常に気付くのは難しいです。
このようなぼんやりとあらわれる症状からは慢性肝炎に気付くことはないでしょう。血液検査でもしない限り異常が見つかることはありません。
肝硬変・肝臓がん
ガンになりやすいよ
C型肝炎では慢性肝炎の状態が5~10年続くと肝硬変に移行し、さらに肝臓がんを発症することもあります。
C型肝炎キャリアのすべてが肝硬変や肝臓がんを発症するわけではありませんが、慢性肝炎が続いた場合は6割の人が肝硬変となります。
ほとんどが無症状の慢性肝炎に対して、肝臓の機能が不足する肝硬変では様々な症状があらわれるようになります。
- 手のひらが赤くなる
- 黄疸
- 乳房の女性化
- 腹水がたまる
- 出血しやすい
- 意識障害
肝硬変であらわれる主な症状です。
このような症状がでるころはC型肝炎はかなり進行しているといえるでしょう。
さらに、肝硬変になった場合は年に7~8%という非常に高い確率で肝臓がんを発症します。
日本の肝臓がんの死亡者数は年間3万人を超えていますが、そのうちの8割はC型肝炎感染者です。
現在のところ、C型肝炎は肝臓がんの一番の原因となっています。
感染経路・原因
感染力は非常に弱い
C型肝炎には血液を通して感染します。
出血をともなう行為で感染する可能性があります。
ただ、C型肝炎の感染力は弱いです。
これは血液中に含まれるC型肝炎のウイルス量が少ないからで、感染力の強いB型肝炎に比べるとウイルスの濃度は1000倍以上も低くなっています。
そんなに簡単に感染するウイルスではありません。
このため、予防策がとられるようになった現在では、新しく感染する人はかなり少ないです。
近年の日本でのC型肝炎の発生報告数は年間30~60件くらいとなっています。
実際に感染している人はもっと多いでしょうが、それでもかなり少ないといえるでしょう。
輸血・予防接種
輸血で感染した人が多い
輸血・予防接種はC型肝炎の主な感染経路でした。
予防接種の場合は注射針の使い回しが原因です。
しかし、日本など先進国では検査体制が確立されているため、現在では輸血による感染は極めてまれです。注射針を使いまわすこともありません。
ただ、世界的には血液に対してC型肝炎ウイルス検査をしない国がまだたくさん存在しています。
先進国以外で輸血などの医療行為を受ける場合は注意が必要かもしれません。
性行為による感染
性行為での感染は少ないよ
C型肝炎ウイルスには性行為でも感染することがあります。
ただし、感染はかなりまれです。
ウイルスは精液や膣分泌液、唾液には感染を引きおこすほどのウイルスは含まれていないからです。キスでも感染することはありません。
生理中の性行為、出血しやすいアナルセックスなど、出血を伴った性行為をしない限りは感染しないと考えられます。
夫婦間でのC型肝炎ウイルスの感染確率が0.23%だったという報告もあります。かなり低い確率です。
ただ、確かに感染する確率はかなり低いですが、性風俗店で働く女性では一般女性の8~10倍くらい感染者が多く、性行為で感染しているものと考えられます。
同様に男性の同性愛者・ゲイの人たちでもC型肝炎の罹患率が高くなっています。こちらもアナルセックスなどで感染しているようです。
出血しやすいアナルセックスなど、出血を伴うような性行為は避けた方がいいでしょう。
また、他の性感染症に感染している場合も粘膜が弱くなるため、C型肝炎に感染する可能性は高くなると考えられます。
その他の感染経路
- 覚せい剤注射
- 入れ墨やピアスの穴あけ
- 母子感染
- 長期間に渡る透析
その他にもこのようなルートで感染することもあります。
覚せい剤が広まっている国では、注射の回し打ちによる感染も多いです。
適切に消毒がされない器具を使って、入れ墨やピアスの穴あけなどが行われた場合にも感染することがあります。
出産が長引いた場合には母親の血液が赤ちゃんに流れ込み、C型肝炎ウイルスに感染することがあります。しかし、このような母子感染はかなりまれです。
予防方法
普通は感染しない
普通の生活を送っていれば、日常生活でC型肝炎に感染することはないためそれほど心配する必要はありません。
ただ、出血を伴う行為では感染してしまう可能性があるため、歯ブラシやカミソリなどは共用しないほうがいいといえます。
性行為に対してはコンドームが唯一の予防手段です。
C型肝炎の感染率自体も非常に低いため、コンドームを使っていれば感染することはないでしょう。
それでも、A型肝炎・B型肝炎とは異なりC型肝炎にはワクチンが存在しないため、完全に予防することはできません。
C型肝炎の検査
血液検査だよ
C型肝炎の検査は血液検査で行います。
血液中の抗体を調べる検査で、ほとんどの病院で行うことが可能です。
ただし、検査で陽性であっても感染しているとは限りません。
陽性であった場合、現在も体内にウイルスがいて感染状態にあるキャリアと、過去に感染していたけれどもウイルスは消えている状態のどちらかとなります。
このため、陽性だった場合には現在もウイルスがいるかどうかを調べる検査が必要になります。
その検査でC型肝炎ウイルスに現在感染していることが判明した場合には、C型肝炎がどのくらい進行しているかを調べるためにさらに詳細な検査が行われます。
治療方法
急性肝炎
急性肝炎では特別な治療は行われません。
安静にして肝臓を休ませるぐらいです。
ただ、慢性化するようであればインターフェロンなどを使った治療を始めることがあります。
慢性肝炎
抗ウイルス療法と肝庇護療法があります。
抗ウイルス療法ではインターフェロンなどを使って、体内からのウイルス排除を目指します。
ただ、日本人はインターフェロンが効かないタイプのC型肝炎ウイルスに感染している人が多く、治療しても完全にウイルスが消えた状態になるのは30%くらいです。
それでも、現在では治療法もかなり進歩しているため、完治率の高い治療法を選択することも可能になっています。
肝庇護療法では肝臓の炎症を抑えて、C型肝炎の進行を遅らせるのが目標です。
その他
また、アルコールはC型肝炎の進行を早めるため、できるかぎり飲酒を避ける必要があります。
性病検査キット
自分で検査できるよ
性病検査キットを使うと、自宅で性病検査をすることもできます。
ただ、検査キットは誰にでもオススメできるわけではありません。そのまま病院へいったほうがいい場合もあります。
そして、検査キットにはメリットやデメリットもあります。
性病検査キットの良い点・悪い点のページでは、これらの点について解説していますので、そちらを参考にしてください。
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