性器ヘルペスの症状(急性型・再発型)
性器周辺に痛みがある場合は、性器ヘルペスかもしれません。
性器ヘルペスでは、水ぶくれや皮膚のただれができて、ひどいときには歩くことが困難になることもあります。
また、何度も再発を繰り返しやすいのも、性器ヘルペスの特徴です。
このページでは性器ヘルペスの症状について解説します。
性器ヘルペスとは
性行為で感染するよ
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染の感染が原因です。性器の周辺に、水ぶくれ・ただれができて痛みます。
主に性行為によって感染しますが、感染力が非常に強いため、お風呂やトイレでも感染することもあります。
また、セックスだけでなく、フェラチオなどのオーラルセックスでも感染します。
そして、太もも、お尻、肛門など性器周辺に発生することも多く、コンドームでも完全に防ぐことはできません。
再発を繰り返すことが多い
性器ヘルペスになると、完治することがありません。ウイルスが神経の奥に隠れてしまうからです。
再発を繰り返すことが多いのも特徴で、月に何度も発症する人もいます。
飲み薬で治るよ
性器ヘルペスの検査方法はいろいろあります。
しかし、性器ヘルペスの症状がでていないときは検査が難しかったり、精度に問題があったりするため、お医者さんが目でみて性器ヘルペスかどうかを判断することがほとんどです。
治療薬としては、主に飲み薬が使われます。
この飲み薬はよく効くのですが、再発の多い人のでは1年間飲み続けて、再発しにくくする治療方法もあります。
潜伏期間
感染してから数日だよ
性器ヘルペスの最初の症状は、ウイルスに感染してから2~10日くらいであらわれます。これを急性型、もしくは初発型ともいいます。
感染から数日ぐらいの早い時期に症状があらわれることがほとんどですが、たまに3週間くらいの潜伏期間となることもあるようです。
ただ、性器ヘルペスのウイルスに初めて感染しても、症状があらわれないことのほうが多く、8~9割の人は初期症状である急性型の症状がでません。
これは体の免疫力などにより、性器ヘルペスの出現が抑えられるからです。
また、口のヘルペスである口唇ヘルペスを持っている人では、ヘルペスの抗体が存在しているので性器ヘルペスの初期症状は出にくいです。
急性型の症状がでない場合、感染したことにすら気付かず、性器ヘルペスのウイルスは神経に隠れてします。
そして、性器ヘルペスのウイルスは再発のときまで潜伏することになります。
急性型の症状
感染初期は症状が重い
感染初期にあらわれる急性型の性器ヘルペスでは、症状が重くなることがあります。
ウイルスに対抗する抗体が存在しないため、ウイルスが好き放題に暴れるからです。
- 太ももの付け根(リンパ節)が赤く腫れて痛む
- 1~2mmの水ぶくれが多数できる
- 水ぶくれが破れて潰瘍(ただれ)に
- 潰瘍による強く激しい痛み、歩くことが出来ないことも
- 発熱
- 全身倦怠感
- 排尿困難・排尿痛
急性型の性器ヘルペスの症状はこのようなものです。
感染から数日で、突然に性器周辺の不快感・かゆみ・軽い痛み・熱っぽさがあらわれます。
その後、感染した部分が赤く腫れた後に、小さな水ぶくれがいくつもできます。水ぶくれは放っておくと、破れて皮膚のただれとなって激しく痛みます。
痛みがひどい場合には、歩けなくなったり、おしっこが困難になる場合もあります。入院が必要になることもあります。
また、ほとんどの人で、太ももの付け根にあるリンパ節が赤く腫れて痛みます。
ウイルスが大量に増殖するため、発熱や体のだるさ・頭痛がでることもあります。
この急性型の性器ヘルペスは放っておいても、3週間くらいで治りますが、治療を受けることにより1週間ほど治るのが早くなります。
再発型の症状
症状は軽いよ
性器ヘルペスでは、再発を繰り返す人が非常に多いです。
再発した場合の性器ヘルペスを、再発型と呼びます。
再発型の性器ヘルペスが発症するのは、感染から数週間以降の抗体ができた後です。
症状が重くなることがある急性型に対して、再発型では症状は軽いことがほとんどです。ヘルペスの抗体があるおかげで、ウイルスが増殖しにくくなるからです。
しかし、再発型では症状の重さよりも、何度も繰り返すことの方が大きな負担となります。
急性型・再発型の区分
感染から10日以内に発症するのが急性型の性器ヘルペスですが、この期間には発症しない人が多いです。
その後、感染から数週間以上過ぎてから初めて症状がでれば、見かけ上は初めての発症(初発)となります。
しかし、症状としては再発型に分類されます。
感染から数週間以降では抗体がつくられるため、症状が再発型と同じく軽いものとなるからです。
- 1個から数個程度の水泡(数は少ない)
- 急性型と同様の症状がでるが軽い症状
- 発熱や太ももの腫れは出ない、もしくは軽い
再発型の主な症状です。
水ぶくれができても数は少なく、見逃してしまうほど小さい場合もあります。
チクチクとした痛みやかゆみで、しばらくはわずらわしい思いをしますが、2週間ほどで自然治癒します。
急性型と同様に、この再発型でも早いうちに薬を飲めば、治るのが1週間くらい早くなります。
発生する場所
女性
女性では性器の外側である外陰部や、膣の一番奥の子宮頸部(しきゅうけいぶ)に主に発症します。
外陰部では痛みがでますが、子宮頸部では痛みを感じないため気付かないことが多いです。
また、太ももやおしり、肛門周辺に性器ヘルペスの水ぶくれがあらわれることもあります。尿道にも感染することもあります。
アナルセックスをする人の場合には、直腸にできることもあります。
男性
男性では亀頭からペニスの根元にかけて、性器ヘルペスができることが多いです。陰嚢(睾丸)にできることもありますが、普通はペニスのさおの部分にできることが多いです。
また、女性と同様に太もも、お尻、肛門周辺、直腸の粘膜、尿道にできることがあります。
口
オーラルセックスでは、口のヘルペスが性器に感染することがあります。
それとは逆に、性器のヘルペスが口に感染することは多くはありません。
口と性器では、感染しやすいヘルペスの型が異なり、性器のヘルペスは口には感染しにくいからです。
男性と女性の違い
女性のほうが症状が重い
性器ヘルペスでは、男性に比べて女性の方が症状が重くなることが多いです。
男性の場合、ペニスがちょっと赤くなったり、お風呂でちょっとしみるくらいで、性器ヘルペスを自覚しないことが多いです。
これに比べて女性では、男性よりもはっきりとした症状がでやすいです。
また、実際の患者数でも女性は男性の2倍くらい存在しています。女性の方が感染しやすいといえます。
女性の方が感染しやすいのは、性器の面積が女性の方が広いこと、生理でのホルモンの影響によって免疫力の低下がおこりやすいことなどが原因と考えられます。
性器ヘルペスの画像・写真
性器ヘルペスの画像だよ
Dermnet.comは皮膚科の画像・写真を掲載しているサイトです。専門的で詳細な画像中心です。
口唇ヘルペスも性器ヘルペスもどちらも単純ヘルペスです。症状としては同じですが、主なウイルスの型が異なります。
1型の画像は口唇ヘルペスのものが多いです。
dermis.netも皮膚科の画像・写真を掲載しているサイトです。性器ヘルペスの画像を確認できます。
>> 性器ヘルペスの画像 – nonprofitstdtesting.org
>> 口唇ヘルペスの画像 – nonprofitstdtesting.org
nonprofitstdtesting.orgは性病関連のサイトです。性器ヘルペスの画像が多数掲載してあります。
mpwhnet.comは性器ヘルペス関連のサイトです。女性の画像が数点掲載してあります。
グーグルの画像検索結果(英語)です。
再発の前触れ
性器ヘルペスがおきるのがわかるよ
性器ヘルペスの再発では発症の前に前兆、前触れがおこることがあります。
- 腰痛
- 下半身のしびれ
- 太ももの裏に神経痛のような痛み
- 再発する箇所に違和感、ムズムズ感
- 軽いかゆみ
水ぶくれができる2~3日前から、下半身のしびれがあったり、太ももの付け根にピリピリとした違和感を感じることがあります。
そして、発症の数時間前になるとかゆみや痛みとしてあらわれます。
再発がおきるすべての人で、このような前触れがあるわけではありませんが、40%くらいの人が性器ヘルペスの前触れを経験しています。
口唇ヘルペス
くちびるにできるヘルペス
くちびる周辺や口の中、あごなどにもヘルペスの水ぶくれ・ただれができることもあります。口唇(こうしん)ヘルペスです。
口唇ヘルペスと性器ヘルペスでは、感染する主なヘルペスウイルスの型が異なっています。
また、口唇ヘルペスは子供のころに両親からうつることが多いのですが、性器ヘルペスでは性行為でうつるという点も異なっています。
幼少期に口唇ヘルペスに感染する人は非常に多く、日本人の半数くらいは感染しています。性器ヘルペスと同様に、口唇ヘルペスも感染するとウイルスは排出されることなく、そのまま神経に潜伏しています。
風邪をひいた時などには、この潜伏していた口唇ヘルペスがでてくることがあります。
性器にも感染する
口唇ヘルペスと性器のヘルペスでは、主に感染する型が異なるのですが、口唇ヘルペスが性器に感染することがあります。
感染者の唾液中には、口唇ヘルペスのウイルスがたくさん含まれています。
このため、フェラチオ、クンニリングスなどの性行為で、口のヘルペスが性器に感染することがあります。
ただ、口から感染した性器のヘルペスでは、感染から数日後に急性型の症状となってでることが多いのですが、再発することはあまりありません。
また、これとは逆に性器のヘルペスの口への感染は多くはないです。
HIVとの関連性
HIVはヘルペスが治りにくい
性器ヘルペスとHIVには、かなりの関連が見られます。
HIVに感染している人では性器ヘルペス、口唇ヘルペスなどのヘルペスが重症化することが多いです。
これは、HIV感染者は免疫力が低下しているため、ヘルペスがなかなか治りにくくて薬も効きにくいからです。
また、HIV感染者ではヘルペスのウイルスが、性器だけではなく全身に広がり、食道、肺、脳、大腸などさまざまなところに感染することがあります。
HIVに感染しやすい
そして、HIV感染者のヘルペスの水ぶくれには、血液や精液などよりも多くのエイズウイルスが含まれていることが分かっています。
このため、性器ヘルペスに感染しているHIV感染者との性行為では、HIVに感染しやすくなります。
また、HIVは性器の粘膜から感染するのですが、この粘膜自体がバリアの役目を果たしているために、HIVが入ってきたとしても簡単には感染しません。
しかし、性器ヘルペスによって潰瘍・ただれができている場合には、HIVに非常に感染しやすくなります。ヘルペスの症状がでている人では、HIVに50~300倍感染しやすくなるという報告もあります。
これは、HIVが好んで感染する細胞というが体には存在しているのですが、性器ヘルペスではその細胞が露出し、HIVがそのまま入っていけるからです。
このため、性器ヘルペスはHIV感染の入り口になっている、ともいえるでしょう。
性器ヘルペスの治療
治療でよくなるよ
性器ヘルペスは治ることはありません。
しかし、ヘルペスにはよく効く薬があります。治療を行うことでかなり症状を改善することが可能です。
そして、治療薬やの治療方法はいくつかあり、症状の程度によって対処の仕方が異なっています。
性器ヘルペスの検査と治療、薬のページでは、これらの点について解説していますので、そちらを参考にしてください。