トリコモナス膣炎の検査と治療・薬
トリコモナス膣炎の検査と治療方法・治療薬についての解説です。
一般的な検査方法
顕微鏡検査が一般的
トリコモナス膣炎の検査でもっとも一般的な検査は、顕微鏡検査です。
膣分泌物や尿を顕微鏡で調べます。お医者さんが顕微鏡を使い、眼で見てトリコモナスがいるかを確認することになります。
ただ、この検査方法は精度が高いとはいえません。
トリコモナスの診断に慣れたお医者さんでも、10%程度は見逃すこともあります。
あまり、トリコモナスの診断に慣れていないお医者さんだと、全然ダメなこともあります。
つまり、経験豊富なお医者さんなら精度はそこそこ高いけれどもたまには見逃すこともあり、逆にあまり経験のないお医者さんだと見逃すことのほうが多くなる、ということです。
ただ、現在でもトリコモナス膣炎の検査は、顕微鏡検査が最も一般的です。
培養検査というのもあるよ
トリコモナス膣炎の検査には培養検査という方法もあります。
お医者さんが「トリコモナスが少なくて検出できないのかも」と推測した場合に、トリコモナスを増やしてから検査する方法です。増やしてから顕微鏡検査をします。
培養検査の精度は顕微鏡検査よりは高いですが、それでもトリコモナスを見落とすこともあります。感染初期などはトリコモナスが少なすぎて、培養しても発見できない場合もあります。
また、培養検査の場合は培養に数日かかるため、後日病院に検査結果を聞きにいく必要がありますよ。
遺伝子検査
遺伝子検査はあまり必要ないね
トリコモナスの検査として遺伝子検査という方法もあります。
主にPCR法という方法で遺伝子検査を行います。精度が非常に高く、信頼性のある検査です。感染から2~3日後に検査が可能です。
実際に、GME医学検査研究所では郵送検査キットで遺伝子検査ができるようになっています。
ただ、トリコモナスの遺伝子検査は、必ずしも必要のある検査とはいえません。
お医者さんは「トリコモナスの検査は顕微鏡検査と培養検査で十分に対応できるね」と考えます。
見逃されることもありますが、腕のいいお医者さんなら顕微鏡検査で9割以上を発見できます。
トリコモナスの遺伝子検査を考えるような場合というのは、治療後にトリコモナスがいなくなったのを確認する場合、トリコモナスが疑われるが診断が確定できない場合など一部に限られてくるでしょう。
トリコモナスの遺伝子検査というのは、精度は高いけれども必要性は低い検査といえます。
治療方法・治療薬
フラジールがよく使われる
日本の場合、膣トリコモナスの治療ではメトロニダゾールという成分を含む治療薬を用いることがほとんどです。フラジールが一番使われます。
こちらは医薬品の個人輸入代行のオオサカ堂さんのHPです。
日本ではトリコモナスの薬にはお医者さんの処方箋が必要です。市販薬として販売されているトリコモナス治療薬というのはありません。
フラジールは250mgを1日に2回、10日服用します。
ちなみに細菌性膣炎でもメトロニダゾールが使われる薬ですが、飲む量・飲み方が少し異なります。
また、トリコモナスが薬剤に耐性を示して薬が効かない場合もまれにあります。この場合はフラジール以外の薬を使っての再治療となります。
飲む薬と膣に入れる薬があるよ
実はこのフラジールには飲む薬と、膣に入れる膣錠があります。
日本のガイドラインではフラジールの飲み薬を推奨しているのですが、実際の現場のお医者さんの場合はフラジール(メトロニダゾール)の膣錠を処方する場合が多いですね。
ちなみに男性のトリコモナス感染の場合は飲み薬しかないので、飲み薬となります。
再びアメリカの話ですが、アメリカでは膣錠よりも飲み薬のほうが効果が高いと考えられています。日本のガイドラインも恐らくは同じ観点から飲み薬を推奨しているのだと思います。
また、トリコモナスは尿道・膀胱にも感染することがありますが、この場合は膣錠では効果が無いので飲み薬が必要となります。
妊婦さんは注意が必要、アルコールも
このフラジール(メトロニダゾール)は胎児に影響がでる場合があるため、妊娠初期の女性や妊娠の可能性のある女性は注意が必要です。
また、フラジール(メトロニダゾール)とアルコールの同時摂取は悪酔いしやすくなります。フラジール摂取後、2~3日は禁酒したほうがいいでしょう。
このフラジール(メトロニダゾール)の使用方法については以下のHPが詳しいので参考にしてください。
>>フラジール(メトロニダゾール)飲み薬 | おくすり110番
>>フラジール(メトロニダゾール)膣錠 | おくすり110番
再発とその原因
トリコモナス膣炎は再発することも少なくはありません。再発しやすい人だと治療が終わってからも何度も再発する人もいます。
男性からのピンポン感染
女性が治療してもパートナーの男性が感染していると再感染して再発してしまいます。パートナーの治療も大事になってきます。
トリコモナス膣炎の感染が判明した女性だと、そのパートナーの男性の感染率が7割になっているという報告があります。
男性の場合は感染しても症状もほとんどなく、放っておいてもトリコモナスはおとなしくしている場合が多いです。それでも性行為のたびに女性に何度でも感染させることになってしまいます。
また、男性はトリコモナスの検査の精度が低く、感染していても陰性と判定されることが多いです。
ピンポン感染・女性の再発を防ぐという意味でも、パートナーの男性も検査・治療をしたほうがいいでしょう。
薬では完全に治らないこともあるね
フラジールなどの薬を使っても5~10%程度の人は、1度の治療ではトリコモナスを完全に死滅させることはできません。
そして、トリコモナスが残っているのに治ったと思い込み、トリコモナスが再発したと思う人もいるでしょう。
別の臓器から戻ってくる場合
トリコモナスは主に膣炎を引き起こす病原体です。
膣の中のトリコモナスが消えても、子宮頸部や尿道・膀胱にトリコモナスが入り込んでいることもあります。
この場合、他の臓器に潜んでいたトリコモナスが戻ってきて、トリコモナス膣炎が再発することがありますね。
性病検査キット
自分で検査できるよ
性病検査キットを使うと、自宅で性病検査をすることもできます。
ただ、検査キットは誰にでもオススメできるわけではありません。そのまま病院へいったほうがいい場合もあります。
そして、検査キットにはメリットやデメリットもあります。
性病検査キットの良い点・悪い点のページでは、これらの点について解説していますので、そちらを参考にしてください。
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